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Channel: 越前 ひとり山 ある記
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越前甲(えちぜんかぶと) 鎧の隙間を縫って 1/3

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越前甲の「甲」は「兜」と同意。
山頂部の周囲を絶壁が鎧のように取り囲み、その姿が兜を思わせるところからついた山名だという。
 
登山道は大きく右へ回りこんで東の県境稜線から登るようになっており、それは積雪期であっても断崖に囲まれた山頂部へのルートは夏道と同じだ。
そしてこの山へは、スキーのメッカとして多くの山スキーヤーが入山している。
残念ながら積雪期には登山者のほうが少数派になってしまう。
 
  イメージ 1イメージ 2                                                         
     
 
 
しかし物好きな山ヤはいるもので、なんと鎧の隙間、つまり重なりあった断崖絶壁の弱点を突いて直登してしまうルートを紹介していた。
でもま、晴れの日を選んでいそいそとそんなルートを参考にする私に、「物好き」なんて言う資格は・・・??
 
【尚、今日くらいの積雪ならば大きな危険は無いかもですが、一応ルートの直接記載はさし控えます】
 
 
 
久しぶりの晴れ予報に、のんべんだらりの正月モードからなんとか身体の切り替えスイッチを入れなおす。
何度も見ている山頂部を取り囲む絶壁のイメージが頭から振り払えず、保険としてヘルメットとハーネス装着の上に30mロープを持参することにした。
 
 
イメージ 10イメージ 117:45 まだ他に誰も来ていない、駐車地すぐ横の尾根を登りはじめる。
ウサちゃんとカモシカくんの間に人間の足跡。
実はスノーシューがMSRの最新のモノに、自分への「お年玉」かな?  
 
駐車地には、昨日までの雨が凍ったのか アスファルトが1㎝ほどの氷に覆われていた。
そしてその雨は、一mほど積もっている雪面も締まらせてくれた。
てっきり今日は楽勝かと思ったがそんな甘くは無く、標高で百mも登るともう雨は降らなかったのか、重い湿雪に靴上くらいスノーシューが沈み込む。
 
 
 
イメージ 12イメージ 13尾根を進む。
前方に常に山頂部が見えており、カーブや接続を見極めながら尾根に沿って歩けばよいことが分かる。
もちろんアップダウンはあるが、幸い去年の敗退を決定付けたような大きなギャップは出てこなかった。
 
 
 
イメージ 14
経ヶ岳や荒島岳が見え出した十時過ぎ、急激に太陽が翳りだした。
 
カモシカくんがのっそりのっそりと歩いて行くのを見かけたが、しばらくして対岸の山から盛んに猟の銃声がしだした。
何キロも離れていると分かってはいても、気分のいい音ではない。
 
 
イメージ 15イメージ 16おやっ? 気がつくと隣の尾根は去年の敗退ルートだ。
尾根に紛れ込んだ巨岩のギャップが二箇所連続している。
しかしあの高さだと、ロープを使って回避しようにも30mでは足りないかな・・・。
 
ふと見ると、おおっ~白山だ!!
 
 
イメージ 17
お昼のサイレンが鳴った。
再び天気は回復してくれたようだ。
 
山頂部の崖マーク箇所。雪のベールに隠れて少しおとなしく見える。
 
 
イメージ 3イメージ 4ひぃ~、な、なんちゅう急坂! やっとこさ分速二歩くらい ・・・。
ちなみにすぐ横は真下の谷底までストーンと百m!!
 
やっと恐怖の絶壁部分を抜けられた~ ♪
後はさくっと、山頂部分を片付けるだけ・・・と思ったが、なんのなんのまたもや超絶急斜面、わずか五百mほどにもう一時間半を要した。  
 
 
イメージ 5
山頂直下から、登ってきた全景。
当然、鎧である重なった絶壁部分は見えないが、うまいこと尾根が繋がってるもんだね。
 
【ほとんどが高架道路のような高度感たっぷりの狭い尾根歩きルート。積雪が増えてくればナイフエッジと化す
部分も出て来そうだ。また、今回のようなラッセルが無ければないであの急登がさらに問題となる 】
 
 
 
イメージ 6イメージ 714:07 やっと山頂だ。
大日山方向と白山方向。
久しぶりのめったとない晴れ間で、てっきり山スキーの団体さんが大勢帰った後だろうと思ったが、なぜか今日のトレースはまるっきり無かった。
 
風を避けてもまだ寒い。合羽を着込んで遅くなった昼食とした。
 
 
イメージ 8
八反滝。
 
帰りは「どこでもスノーシュー下り」を満喫。
しかし適当がすぎて、八反滝さらに上部の滝横で面倒なコトになってしまった。
時間を十分にかけて慎重にクリア。
 
 
 
イメージ 9
 結局、ロープはおろかアイゼン・ピッケルも使うことは無かった。
 
16:38 クルマへ到着。
十一時ごろから登りはじめて、早めに切り上げたと言う山スキーヤーが帰り支度をしていた。
そして猟師の軽トラ。
今日は車三台だけだったようだ。 
 
 
 
 
  

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