越美国境
103.4㎞(カシミール計測)
山を始めてから中央分水嶺を高島トレイル・余呉トレイルと歩いてきて、次は越美国境分水嶺だなあと、私の中では割と自然な流れで歩くことになった。
1980年に完了された福井山岳会さんの福井県境踏破を参考にして、順番に繋げていくのではなく出来るところから少しずつやるスタイル。最後の方になって、「福井県人なんだから、福井から登って福井へ降りる山行」でラインを繋ごうと登り直しもした。
福井県境全踏破のタイミングを合わせ、この三月に完全踏破を達成。
赤 登り 青 下り 破線はチャリ
黄色 越美国境
番号;日付 県境踏破距離 / 行動距離 行動時間 天気 形態
1 2007.4/08 7.9㎞ / 14.1㎞ 7:10-16:15(9時間5分) 曇りのち晴れ 残雪歩き
まだスギクラもイソクラも知らない頃、温見峠から初めての能郷白山。全くトレース無しでガス突入もコンパス不調!一瞬の晴れ間にやっと山頂。あれよあれよと晴れてきて周回決行。籔、目視でコース修正、谷は落石恐怖。
2 2011.3/05 3.0㎞ / 10.5㎞ 8:50-18:01(9時間11分) 快晴 新雪歩き
GPSを手に入れ林道往復卒業山行、神秘の冬夜叉ヶ池。買ったばかりのアイゼンでズボンに穴も雪と氷の芸術の世界と大展望に言葉も無し。夜叉壁の上は危険いっぱい、爽快シリセード。トレースで県境速達尾根を知る。
3 2012.5/05 2.0㎞ / 19.4㎞ 4:45-18:27(13時間42分) 晴れのち曇り 籔ヤブ歩き
越前版余呉トレイルの帰路。岩谷川林道からの県境速達尾根はケモノ道でラッキー、激ヤブ分水嶺稜線には先月あった筈の雪はほぼ消失、背丈以上の笹に囲まれた三国岳。予定の美濃俣周回は諦め夜叉ヶ池から下山。
*注 ③の山行記録は余呉トレイルに収録
4 2013.2/17 2.9㎞ / 14.9㎞ 6:50-18:13(11時間23分) 晴れ 新雪歩き
越美分水嶺攻略初回、意外と深い新雪に-8度の湖岸道2時間、更に美濃俣丸まで5時間も大展望。雪庇崩落に肝を潰す、この世のものとは思えぬ美しさに出会う。アップダウンに参る分水嶺歩き、長~いカイドウノ尾。
5 2013.3/09 8.6㎞ / 18.8㎞ 3:32-15:24(11時間52分) 快晴 残雪歩き
単独者の分際で途中でザックを手放す愚か者。素晴らしい夜明け前の雪山風景の中、美濃俣丸は前回半分の時間。雪割れから20mもの巨大雪庇、お昼の笹ヶ峰から見知った白山。最後に「通過不能滑り台」にやられる。
基準外a 2013.3/17 - ㎞ / 32.7㎞(内チャリ16.3㎞) 5:29-18:26(12時間57分) 快晴 残雪歩き
丸一日の快晴に感謝、いつもの石徹白稜線も反対側からの眺めは新鮮。チャリを取り付き近くに置いて毘沙門岳を目指す。西山で岩倉山岳会さんと昼食。見通し悪い植林帯は複雑怪奇?ギリギリ日没には越美トンネル。
登り直し山行 → ⑱ ⑳ ㉒
6 2013.5/04 4.4㎞ / 18.5㎞(内チャリ4.6㎞) 6:26-18:58(12時間32分) 晴れのち曇り 残雪歩き ええっ、廃村温見集落にジョギング女性?雲上のスカイライン(雪庇のなごり)と固い雪面の谷底歩きのおかげで望外の若丸山までをゲット♪積雪期はナイフリッジの稜線ヤブ、山頂部の激籔々には参るも下山尾根は秀逸。
7 2013.6/16 3.7㎞ / 7.4㎞ 9:04-14:20(5時間16分) 晴れ 登山道歩き
ジェットボイルとマヨネーズを持って金草岳へ、ネマガリを食しにゆったりマッタリ?・・・。
冠峠からの登山道100%ピストン! まあ、越美分水嶺踏破にこんな回があってもいいかな・・・。
8 2014.2/23 4.4㎞ / 13.4㎞(内チャリ2.0㎞) 7:07-17:45(10時間37分) 晴れ 新雪歩き
テープと虎ロープに誘い込まれ予定外の難所「ガンドウ尾根」、核心はなんとかクリア。貧雪とまで言われる年だが流石に越美国境金草岳、簡単に通してくれず。発達中の雪庇、登り返しは新雪が吹き飛んでてラッキー。
9 2014.3/22.23 19.7㎞ / 38.5㎞(内チャリ6.7㎞) 7:05-17:26&6:50-19:30(23時間1分) 両日晴れ 残雪歩き
箱ケ瀬橋にチャリをデポし油坂峠からテン泊装備を担いで滝波山方向へ。雪なしの中央分水嶺には参るがしばらくでスノーシュー歩行可能に。根上り檜、お天気の中なら際限なしのアップダウンもまた楽し。雪なし区間を過ぎお泊り適地、御嶽横からご来光。紺碧の空と霧氷、滝波山からは「ひとり」さんのトレース。美濃平家から白山を総大将とする「鶴翼の陣」、絶景。平家岳はパス、さて屏風山どう攻略。大人数出現トレース辿る長い下山路。
10 2014.5/11 0.5㎞ / 5.0㎞ 13:04-18:25(5時間21分) 晴れ 沢登り 山菜採り 前回地形図の中に発見したパンダピーク?から高倉峠までをあえて残したのは、沢登りスキルアップの実践経験を積みたかったから。しかし全然練習にならない沢で、お土産のネマガリと水ぶき採りに励んで帰った。
11 2014.6/15 3.0㎞ / 7.0㎞ 9:04-17:10(8時間6分) 晴れ 沢登り
越美国境踏破手段として始めた沢登り、その最初の実戦は相手が手加減してくれ、大空白地帯に小さな穴を開けた。ケムンパス君とオタマジャクシいっぱい。「主」のP1106から妖怪屏風山、下降沢で古い転落車両に仰天。
12 2014.6/28 1.3㎞ / 15.6㎞ 沢ルート敗退山行 6:40-19:26(12時間46分) 小雨降ったりやんだり 沢登
♪ わたしバカよね~、おバカさんよね~、敗退というより惨敗、いや正確には自滅・・・。屏風山魔の山かも。
泊まり装備に不備を発見!その時点で引き返せる訳もなくギリギリまで。コアジサイ大群落に見送られ撤退。
敗退a 2015.4/18 - ㎞ /37.2㎞(内チャリ12.0㎞) 4:20-22:21(16時間1分)② 晴れ 残雪歩き
屏風山尾根ルート敗退山行。南面笹生ダム湖岸道融雪読み通りも寡雪とは無縁の年なのに尾根に雪無し。藪密集陣形尾根を半泣き通過、三度目「主」の先は全く雪無し。敗走ルート選択ミス、延々分厚い積雪林道歩き。
基準外b 2015.5/24 - ㎞ / 16.8㎞ 5:11-19:30(14時間19分) 晴れ 残雪も歩く
温見峠の開通日。獣道を見失うとお手上げも太い根曲りの採取。所々の残雪上や越山下降点で展望、雪面で根曲り三昧お昼。後半「いい道」、蝿帽子嶺の美濃側古道もほぼ生きてて意外とお花。車道歩きがつらかった。
登り直し山行 → ㉑
13 2015.5/30.31 6.7㎞ / 37.3㎞(内チャリ17.0㎞) 8:15-18:30&5:55-19:41(24時間1分)
初日/ 晴れのち曇り時々雨 二日目/ 濃霧のち晴れ ヤブ歩き
工事で初っ端から林道歩き7.5㎞が追加。軽量化沢スリッパ初投入、最初のGPS異常治まり四度目のP1106の主と対面、生まれたてバンビちゃんは動けず。雨の急登は登山道が有難く、三度目の正直で屏風山ピーク。凄まじい南峰下降、途中ピークでツェルト。翌朝濃霧でGPS見ても下降ミス、青空に安心あとは只々ひたすらの藪漕ぎと思いきやもうやめてGPS異常第二弾。GPS機嫌治るも最終ピーク下降時に電池切れ、読図でなんとか。
14 2015.8/15.16 5.6㎞ / 10.9㎞ 8:50-18:06&6:09-17:55(21時間2分) 両日晴れ ヤブ歩き/沢登
盛夏の越美国境には獣道が無いって?そ、そんな殺生な!知らずに遅い時間出発&余計な冠山山頂寄り道。難儀な背丈を越す笹薮に灌木が混じると更に大変。幾分マシな崖っぷち歩行を編み出す。樹林帯は少しラク。やはり若丸山には全然届かず沢泊まりのハズが笹薮ツェルト泊。翌朝は雲海、水危機脱出の為リッカ谷下降エスケープ。豊富な水でソーメン湯がいてアラクラ谷遡行を存分に楽しみ、帰り笹薮は行きの三分の一の時間?
15 2015.11/03 3.0㎞ / 10.4㎞(内チャリ6.2㎞) 7:29-17:20(9時間51分) 晴れのち曇り ヤブ歩き
三度目の挑戦も、登り下り不安ない紅葉山行。悪路の象徴檜の緑が見えず嬉しい。蝿帽子嶺まで越美国境としては大変に歩きやすく人跡も見られ、古道は獣が守るか。三十分のチャリ漕ぎもつるべ落としの秋の夜を実感。
16 2015.11/22 6.6㎞ / 23.7㎞(内チャリ6.4㎞) 3:46-18:06(14時間20分)⑤ 曇り ヤブ歩き
雪の無い越美国境長距離に早朝発もチャリデポに手間。平家岳への長い長い登り。悪路暗示の檜の濃い緑に怯え、忘れ物ストックに驚く。籔ヤブに阻まれノルマ未達予想にビバークかエスケープの選択は、籔ヤブ下山。
17 2016.1/03 1.8㎞ / 42.8㎞(内チャリ34.8㎞) 4:40-18:20(13時間40分) 晴れ 新雪歩き?沢登り?
正月に越美国境最深部へチャリ?半信半疑で向かうと・・・やってみるもんだ。沢手袋忘れたが登山靴で谷詰め、30㎝もない積雪にスノーシューヤブ漕ぎ左門岳。分水嶺はアイゼン、激ヤブ必至の尾根は止めて谷を下る。
18 2016.4/02 7.3㎞ / 46.1㎞(内チャリ30.0㎞) 5:28-18:34(13時間6分) 晴れのち曇り、霧雨 残雪歩き
越美国境踏破を「福井から登って福井へ降りる山行」に。林道アプローチが有難い、西山登りで作業員から上手く隠れる?なんと前回と同じ過ち複雑怪奇植林帯にヤラれ、油坂峠からチャリに向かうもゲートの罠にハマる。
19 2016.4/24 0.5㎞ / 15.3㎞(内チャリ5.6㎞) 6:13-17:56(11時間43分) 小雨のち曇り 沢登り
単独越美国境踏破完了!若丸山頂まで山日和さんお祝いに?予定外の谷を登るも冷た・寒みーけど楽しい、上から見られながら激ヤブ漕ぎ。あっという間の山頂滞在。想定外蔦ヤブに下りまで予定外のイワウチワ尾根。
、
20 2017.4/16 1.5㎞ / 18.8㎞(内チャリ8.4㎞) 5:57-16:59(11時間2分) 晴れ 残雪歩き
小谷堂先までチャリ。前回超長距離林道歩きでコワケたワカン代わりのチェーンスパイクがオールマイティに有効と判明。ぶっといチシマ笹とブナ。翼を広げた白山見ながら毘沙門山頂ゆったりランチ、明るい時間で終了。
*注 ⑳の山行記録は県境石徹白に収録
21 2017.5/04 6.1㎞ / 14.6㎞(内チャリ1.5㎞) 4:57-18:16(13時間19分) 晴れ 残雪歩き
集落過ぎて駐車も温見峠岐阜側は通行可、挨拶されてビックリ。狙い通り薮の酷い前半に雪面。蝿帽子嶺までケモノ道後半はイワウチワがメインの花の道。ピストン不満とか雪面続く姥ヶ岳までの気力があるはずも無し。
22 2019.3/09 2.9㎞ / 6.9㎞ 9:18-16:00(6時間42分) 快晴 残雪歩き
「福井から登って福井へ降りる山行」で繋ぐ越美国境踏破達成!野田ヶ大和は噂通りの素晴らしい展望、クッキリ北ア、越美国境の山々に感慨。貧雪に山頂部以外は雪なしでも油坂峠までの分水嶺も労少なく歩けた。
番号;日付 県境踏破距離 / 行動距離 行動時間 天気 形態
越美国境踏破とは
本州の背骨である中央分水嶺は、福井(越前)と岐阜(美濃)県境つまり越美国境とも重なる。
福井から見ての奥越・南越、岐阜からは奥美濃それぞれの最深部となり、人間の営みを見ることも稀な山域だ。
県境を抜ける道として、通年通行可なのはR158の油坂峠(越美トンネル)のみ。
あとの温見峠や冠峠(間もなくトンネル)・高倉峠は、少なくとも残雪期半ばまでの車利用は出来ない。
また、ダムからのアクセスや林道なども、実質「使える」モノは限られてくる。
例えば屏風山。
この山を登ることだけを目的とするなら、比較的簡単と言えよう。
美濃側にふもと近くまで林道が来ており、一応登山道もあるからだ。
屏風山山頂という「点」だけを攻略できれば良い。
しかし、越美国境という「線」を埋めていくとなると、途端にハナシが難しくなってしまう。
アクセスルートが極めて限られ、しかも時期の制約まである山域での「行き」と「帰り」それぞれの足を考えての山行計画が必要になってくる。
単独行だと、もうひとつ難しくなってチャリが必須になる。
その屏風山あたりが越美国境踏破で一番苦労した。
ヤブ漕ぎはできるだけ無いに越したことはない。残雪歩きが出来るのなら幸せだが、その適期が終わってしまう前のアクセスが至難の業だったりもする。
難しい山域 なんだとつくづく実感させられた。
が、それら立ちはだかる壁をクリアしていく事自体が、とても楽しく感じるのだろう。